平成14年度資源評価票(ダイジェスト版)
マサバ Scomber japonicus
太平洋系群 担当:中央水産研究所


寿命: 7歳以上
成熟開始年齢: 2歳(一部)、3歳(完全)
産卵期・産卵場: 冬〜春季(1〜6月)、主に伊豆諸島周辺海域、他に紀南や室戸岬沖などの沿岸域
索餌期・索餌場: 夏〜秋季、主に三陸〜北海道沖
食性: 稚魚は動物プランクトン、未成魚以降はカタクチイワシなどの魚類やオキアミ、イカ類など
捕食者: サメ類などの大型魚類やミンククジラ




三陸から常磐海域の大中型まき網漁業は、秋季〜春季に索餌群と越冬群を対象に操業する。熊野灘や紀伊水道などのまき網漁業は周年操業している。伊豆諸島周辺海域のたもすくい漁業は1〜6月に産卵群を主対象に操業する。これらの他に棒受け網や定置網漁業でも漁獲される。漁獲統計ではさば類として計上されているため、市場銘柄や生物測定によりゴマサバと本種を判別し、漁獲量を推定している。


漁獲量は1978年の147万トンのピーク後徐々に低下し、1990年には2万トン程度まで低下した。その後、1992年と1996年に発生した卓越年級群により30万トン程度の漁獲をあげた年もあったが、未成魚(0、1歳魚)の多獲により資源は回復していない。ロシアによる漁獲はピーク時(1972年〜1979年)には12〜24万トンに達したが、1989年以降、我が国EEZ内での外国によるマサバの漁獲はない。



コホート解析(7月〜翌年6月を1漁期、Pope(1972)の近似式を用いたチューニングVPA)。プラスグループ(6歳以上)の資源尾数については平松(1999)の方法を用い、最近年の選択率は過去5年間の平均とした。この選択率の下で、(1) 0歳魚資源尾数と資源量指数(春季の黒潮親潮移行域における0歳魚資源量指数、道東の流し網調査における0歳魚 CPUE、未成魚越冬群指数)及び(2) 年齢別Fの単純平均と漁獲努力量が最も良く適合するように、最近年のF(選択率=1のF )を決定した。


資源量は1970年代には400万トン、1980年代前半は150万トン程度で推移したが、1980年代末に再生産成功率(RPS)の低下に伴う加入量の減少と強い漁獲圧により減少し、近年では低水準にある。産卵親魚量(SSB)は1980年代中期の50〜60万トンから1990年代には5〜11万トンへと低下した中で、1992年に加入量28億尾、1996年に43億尾の卓越年級群が発生したが、未成魚(0、1歳魚)の多獲によりSSBは回復しなかった。現在のSSBは過去最低の5万トン程度である。加入量当たり漁獲量の観点からは、漁獲開始年齢を現在の0歳から1歳魚へ引き上げる必要がある。さらに、魚価や繁殖への貢献を考慮すると漁獲開始年齢を3歳とするのが望ましい。


マサバも他の浮魚類とともに大規模かつ長期的な資源変動を示す。マイワシなどでは資源回復は卓越年級群の連続した発生によることが知られており、マサバでも1992年級と1996年級を適切に管理していたならば、資源は回復していたと考えられている。昨年度は2000年級が卓越年級群と考えられたので、これを利用して管理目標を産卵資源量(SSB)45万トンへの回復とした。しかし本年度の評価により1996年級群以降は卓越年級群が出現していないため、当面の管理目標を現状のSSBを2005年に倍増させることとし,これを達成する漁獲係数Fを探索的に求めABCを算定した。

  管理基準 ABC(トン) 漁獲割合 F値
ABClimit Frec 41,000 33% 0.25
ABCtarget 0.8 Frec 36,000 28% 0.21
F値は各年齢の単純平均
漁獲割合=ABC/資源重量
資源量は1月の値


  • 加入乱獲と成長乱獲が同時に進行している
  • 再生産関係が年代により変動する
  • 近年は卓越年級群が時折出現することから、資源回復の兆候がある
  • 資源回復が未成魚の多獲により阻まれてきた


  • 主要漁業であるまき網漁業を主体に未成魚の保護策を検討する
  • 当面、産卵資源量10万トンへの回復を目指す
  • 現在の産卵親魚量が増加したときの加入量の動向を注視する
  • まき網漁業はマイワシ、カタクチイワシ、カツオ・マグロ類なども漁獲するので、これらを総合した方策が必要