平成14年度資源評価票(ダイジェスト版)
カタクチイワシ Engraulis japonicus
瀬戸内海系群 担当:瀬戸内海区水産研究所


寿命: 2〜3歳
成熟開始年齢: 1歳
産卵期・産卵場: ほぼ周年(主に3〜11月)、薩南海域から土佐湾、瀬戸内海のほぼ全域
索餌期・索餌場: ほぼ周年、薩南海域から土佐湾、瀬戸内海のほぼ全域
食性: カイアシ類などの小型甲殻類
捕食者: サワラ、スズキ、マサバ、タチウオなどの魚食性魚類




主に中型まき網や船曳網・パッチ網によって漁獲される。近年では船曳網・パッチ網での漁獲量が多い。小規模漁業が大多数を占める瀬戸内海ではカタクチイワシ漁業の投資規模は大きい。シラスから成魚まで漁獲の対象となる。漁場は紀伊水道から伊予灘までの各海域で形成される。操業期間は従来、外海に近い海域でほぼ周年、瀬戸内海中央部で春から秋までであったが、近年、加工に不向きな油イワシの出現や不漁のために操業期間の短縮を余儀なくされている海域がある。


1986年のピーク時にはカタクチイワシ9万3千トン、シラス5万3千トンが漁獲されたが、その後、減少傾向を示し、近年はいずれも2万トン前後で推移していた。2000年以降増加し、2001年には3万6千トン、2万4千トンとなった。1978年以前は瀬戸内海の東部、西部ともカタクチイワシの漁獲量がシラスの漁獲量を上回っていたが、東部では1986年以降、シラスの漁獲量がカタクチイワシの漁獲量を上回るようになり、西部でもシラスの漁獲割合が高まっている。




卵稚仔調査の結果を用いて月別産卵量を算出した。求めた月別産卵量と水温情報から月別親魚資源量を推定し、その連続3ヶ月の合計が最多となるときの平均をその年の親魚資源量とした。渡部(1983)の卵数法により、親魚資源量から未成魚資源量を推定し、それらの合計値を資源量とした。2001年の未成魚資源量を推定する際に必要な2002年の親魚資源量は、最近5年間(1997〜2001年)の平均値84,476トンと仮定した。
また、瀬戸内海全体での船曳網・パッチ網漁業の漁獲統計および代表漁協とその標本船のCPUEから加入動向を検討した。


1995〜2001年までの資源量は5万3千トンから16万5千トン、漁獲割合は4.5〜17.0%で変動した。1999年と2000年の資源量はそれぞれ16万5千トンと13万2千トンと高かったが、2001年は9万9千トンに減少し、中位水準となった。
瀬戸内海全体での船曳網・パッチ網漁業のCPUEは1986年に364 kg/日・隻で最大値を示した。その後、減少傾向を示していたが、1999年には344 kg/日・隻に増加した。2000年にはやや減少し、321 kg/日・隻となった。代表漁協とその標本船のCPUEは1999〜2000年かけて高かったが、2001年には減少した。


現在のところ再生産関係のデータ数少なく、親仔関係は不明である。しかし産卵親魚を残しておくことは、少なくとも翌年の加入を確保するための必要条件であると考えられる。そこで産卵親魚の確保を目標とし、管理目標を達成する漁獲係数Fとして現状のFとF30%SPRを比較し、低い方の値F30%SPRを採用した。上述したように親魚資源量からの次年の加入量予測は困難である。また親魚資源水準は比較的大きく変動し、親魚資源量の予測も困難である。そこで2003年の資源量を最近5年間(1997〜2001年)の平均値105,317トンと仮定し、ABCを算定した。

  管理基準 ABC(トン) 漁獲割合 F値
ABClimit 0.8F30%SPR 27,648 5% 0.75
ABCtarget 0.64F30%SPR 22,947 4% 0.60
F値は完全加入年齢の値
漁獲割合=ABC/資源重量
資源量は6月の値


  • 1980年代後半から、シラスへの漁獲指向が強まった
  • 漁獲量の経年変化には漁業形態の変化も影響
  • 資源量、加入量水準は1999〜2000年に高位であったが、2001年に低下
  • 再生産関係はデータ不足のため明確でない


  • 産卵親魚の確保を目標とする
  • 現状のFはF30%SPRの方よりも高い
  • カタクチイワシ、シラスとも漁獲量を増加させるためには、解禁日や漁期を遅らせ、成長させてから漁獲するという方策が考えられる
  • 親魚の保護のため、成熟度の高い時期には親魚に対する漁獲を抑制することも重要