平成14年度資源評価票(ダイジェスト版)
タチウオ Trichiurus japonicus
日本海西・東シナ海系群 担当:西海区水産研究所


寿命: 8歳
成熟開始年齢: 1歳(一部)、3歳(完全)
産卵期・産卵場: 主な産卵場は中国沿岸域であるが、我が国沿岸域でも産卵する
産卵期は長く春から秋に及び、盛期は春と秋に別れるらしい
索餌期・索餌場: 東シナ海での越冬場は東シナ海中・南部にある
日本海沿岸にも分布する
食性: 主な餌生物は小型の個体ではアミやオキアミ等の小型甲殻類、大型個体(肛門前長250mm程度以上)は魚類
捕食者: 不明



タチウオは各地で釣り、まき網、底びき網、定置網等で漁獲される。かつては東シナ海における以西底びき網の主要対象種のひとつであったが、近年は漁獲量が大きく減少し、代わって釣りやまき網が主に漁獲している。近年、韓国漁船による我が国EEZ内での漁獲量が急増している。


かつては東シナ海において以西底びき網漁業が盛んに漁獲し、1967年には6万トン近くの漁獲量を記録したがその後漁獲量は急速に減少し、2001年には89トンであった。日本海西部海域においても2そうびき沖合底びき網漁業により1965〜1985年には2千トンをこえる漁獲量があったが以後減少し、2001年は166トンであった。近年では大中型まき網による漁獲割合が高くなっており、九州主要港水揚量データが得られる1992年以降を見ると、毎年1,000〜2,000トン程度の漁獲を続けている。我が国の本系群の漁獲量は1980年代・90年代に減少を続け、2001年の漁獲量は4,341トンであった。韓国はタチウオを大量に漁獲しているが、その漁獲量は1983年の152,633トンから2001年の79,898トンまで減少した。韓国の我が国EEZ内における漁獲量は、1999年855トン、2000年2,908トン、2001年3,373トンであり、急速に漁獲努力が増加している。中国は近年100万トン以上の漁獲を記録しており、2000年は129万トンとされる。


東シナ海の陸棚縁辺部で着底トロール網を使った漁獲試験を行って現存量を調査するとともに、底びき網漁船等のCPUEにより、資源状態を検討した。


以西底びき網のCPUE(一網当たり漁獲量)は、変動しながらも1987年以降減少傾向が続き、最近3年は同程度になっている。沖合底びき網のCPUEは、1980年代・90年代には変動を繰り返し、1970年代前半までの水準よりはかなり低く、最近はやや高くなっている。大中型まき網の漁獲量は比較的安定している。これらを除いた沿岸漁業による漁獲量は1992年以降減少傾向を示している。以西底びき網による漁獲物の銘柄組成は、1980年代までに比べて小型の銘柄が占める割合が大きくなっている。中国でも過度の漁獲圧による漁獲物の小型化が報告されている。韓国の研究によれば、韓国海域のタチウオ資源には高い漁獲圧がかかっており、資源は1985年以降(1997年まで)減少を続けている。これらのことから、資源量は強い漁獲圧のために1980年代後半から減少を続け、現在では低い水準にあると考えられる。


本系群に対する漁獲圧は過剰であると考えられるので、削減すべきである。漁獲圧の多くは我が国EEZ外における外国の漁業によるものであり、問題の根本的解決には東シナ海全域での関係国間の協力が不可欠である。一方、我が国EEZ内に限定すれば、我が国水域内の資源の回復の促進には、我が国水域内に来遊した資源等の適切な管理を通じ、我が国水域内での産卵親魚量を増加させることが不可欠である。沿岸漁業による漁獲の減少傾向及び安全率0.8から、現状の漁獲量の0.56倍をABClimitとし、その0.8倍をABCtargetとした。

  管理基準 ABC(トン) 漁獲割合 F値
ABClimit 0.56Cave 3-yr 4,000 - -
ABCtarget 0.8 ABClimit 3,200 - -


  • 1980年代以降、長期的な減少傾向がある
  • 漁獲圧が過剰である
  • 資源水準は低位で減少傾向にあり、資源状態は良くない


  • 問題の根本的解決には東シナ海全域での関係国間の協力が不可欠
  • 我が国水域内に来遊した資源等の適切な管理を通じ、我が国水域内での産卵親魚量を増加させる
  • 漁獲圧の削減が必要