平成14年度資源評価票(ダイジェスト版)
ニシン Clupea pallasii
北海道・サハリン系 担当:北海道区水産研究所


寿命: 10歳以上
成熟開始年齢: 4歳
産卵期・産卵場: 近年、産卵親魚量の資源水準は極めて低いと推定され、産卵場はサハリン南部沿岸に形成されているにすぎない
索餌期・索餌場: 北海道北部日本海からオホーツク海
食性: カイアシ類、端脚類、オキアミ類、魚類(卵・仔稚魚を含む)を捕食
捕食者: 不明



本海域では北海道・サハリン系群と地域性ニシン等が混在しているため、北海道・サハリン系と呼ぶ。沿岸漁業による漁獲は、2〜5月に石狩湾以北の日本海沿岸で刺し網や小定置網で、5〜7月にはオホーツク海の枝幸、雄武、網走周辺の小定置網などで行われる。また、10〜1月には、礼文島東岸で刺し網による漁獲が行われる。沖合底びき網による漁業では、春期と秋期に北見大和堆西側から宗谷海峡に至るオホーツク海域で多く漁獲される。


1897年に97万トンを記録した北海道・サハリン系群ニシンの漁獲量は、増減を繰り返しながらも減少の一途をたどり、1955年以降北海道周辺での漁獲は皆無に等しい状態となった。1983年と1988年に北海道・サハリン系群とみられる豊度の高い年級が発生し、それぞれ1986年と1991年に高い漁獲をもたらしたが、その後の加入量が極めて少なく資源は回復していない。近年の漁獲物は主に地域性ニシンや湖沼性ニシンである。


系群判別が難しく、資源量の推定も困難であるため、他の系群を含んだ漁獲量の経年変化から資源水準と資源動向を推定した。


漁獲量の動向から判断した北海道・サハリン系群の資源量は、1880年代後半から1920年頃までは高い水準にあったものと思われるが、それ以後減少し、1955年以降は極めて低い水準にある。1980年以降、卓越年級群が2回発生したものの、若齢時に漁獲が集中したこともあり、資源の回復につながらなかった。ただし、地域性ニシン等に関しては、必ずしも資源水準が低位であるとはいえない。近年の漁獲の多くは地域性のニシン等と考えられ、特に日本海での漁獲量は増加傾向にある。地域性ニシンの1つである石狩湾系のニシンの資源状態は、北海道立水産試験場によって高水準と評価されている。


本海域においては他の地域性の系群も含まれるため、現在の漁獲水準を維持することを管理目標とした。過去4年間の平均漁獲量に資源回復・予防的措置のための係数を用いてABCを算定した。
ニシンは、他のニシン目魚類であるマイワシと同様に長周期の資源変動を行うと考えられるが、現状では次期の増加期を予測することは困難である。今後は、卓越年級群の発生が確認された場合、漁獲制限などを実施して成長乱獲を防ぎ、この年級群による再生産を確実にする必要があると考えられる。

  管理基準 ABC(トン) 漁獲割合 F値
ABClimit 0.9Cave 4-yr 1,980
ABCtarget 0.8 ABClimit 1,580


  • 他の系群を含んだ漁獲量の経年変化から資源水準と資源動向を推定
  • 1955年以降、極めて低い資源水準
  • 近年は、地域性ニシン等により漁獲が支えられている


  • 現在の漁獲水準の維持
  • 過去4年間の平均漁獲量に資源回復・予防的措置のための係数を用いてABCを算定
  • 今後、卓越年級群が出現した場合には、これを保護して再生産の確保の必要あり